雪の結晶には、地上に届くまでに触れた天空のすべてが、その形や模様に記されている。
科学を詩的な言葉で表現したのは、雪の結晶に生涯を捧げた物理学者であり、随筆家でもある中谷宇吉郎。
T.T26AWシーズンは、中谷宇吉郎の思想を核に、人の想いを運ぶ「手紙」というモチーフから、1950年前後のアメリカとイギリスで郵便に用いられた衣服に着目しています。
BRITISH POSTAL WORKER DUFFLE COAT / LOT.412
Color : Navy
ダッフルコートの名を広めたのは、第二次世界大戦下の英国海軍。
ただ、ご紹介するのは軍用ではなく、ダッフルが民間へと広がった後、1960年頃のイギリスで郵便配達員が着ていたとされるダッフルをベースとしています。フードがなく、アシンメトリーな前合わせが特徴的なデザイン。
私の通っていた高校は、制服がブレザーで指定のアウターがフード付きのダッフルでした。
紺のブレザーに、確かダッフルはチャコールだったかな。そんな記憶もあってか個人的にフード付きのダッフルは、スクール感というか、子供っぽいというか、チャーミングな印象を抱いてしまいます。けれどもこのダッフルはそうした印象を感じさせない魅力があります。

ロング丈でたっぷりとしたシルエット。
実際に着てみると思っていたよりずっと軽く、肌触りもいい。
生地は軽さを追求してブランドが作成した、接結二重織のオリジナルメルトンリバー。
ゴワゴワしたメルトンでなく、ふわっとした厚手のフリースのように柔らかく、落ち感と自然なドレープがあります。
また、生地を一反ずつ毛並みを乱しながら仕上げているため、ヴィンテージのようなムラ感のある表情。
木製トグルは一つ一つ漆で化粧されており、どのように変化していくのか。それもこのダッフルコートを着る楽しみの1つになりそうです。
BRITISH POSTAL WORKER COAT / LOT.413
Color : Dark Brown , Black
こちらは、1950年代頃のイギリスの郵便局内での作業員が着ていたワークコートをベースにしています。
当時の写真には、端正にタイドアップしたスタイルにベストを重ね、その上にワークコートを羽織る姿が残されていました。
作業現場においても美意識を手放さないそのスタイルに着想を得て、フレアの度合いを調整し、現代でも着用しやすいように再設計されています。
生地は3度も起毛加工を施したモールスキン。綿100%とは思えない優しいタッチで、程よいハリとしなやかさをもちます。
また、起毛のない裏側は朱子織ならではの滑らかさがあり、裏地がなくとも摩擦が少なく着脱しやすいです。
ワークウエアを軸にしたデザインやディテールながらも、やや高めに設定されたアームホールや前振りの袖、シルエット、生地感など、歴史の空気を纏いながら、日常に馴染むコートに仕上げられています。
ヴィンテージの衣服から、時代の空気や着用者の姿勢を読みとり、そこに日本の美意識を重ねながら現代に再構築。
機能的であると同時に、静かな詩情が宿ったT.Tのコート。
気がつけば、もうすぐ11月。
コートを着る時期が近づいてきましたね。
キヨハラ







